「おまえら付き合ってるだろう?」という周囲に反応

俺の憧れの恋愛スタイル。それは「告白せずに付き合っちゃう」というスタイル。「そんなことってあり得ないだろ?」そう思うのが普通だろう。「強引に体の関係になってからってじっくりってわけか?」そういうことでもない。そんなにすぐ体の関係になっても盛り上がりに欠けるだろう。イメージとしては、幼なじみみたいなかんじだな。なぜかいつも一緒にいる俺と彼女。特に付き合ってもいないんだけど、波長が合うっていうのかな。一緒にいると落ち着くんだ。もちろん、価値観が似ているという部分はある。お互い、親が「堅い職業」でその束縛された家庭状況に共感し合っているというのもあった。

そして、音楽や小説の趣味なんかも似ていた。「この新作、結構よかったから読んでみて」こんなかんじで物の貸し借りもよくしていた。そうそう、マンガの趣味も結構似ていた。「はい、大好きな少女マンガ」自分では買いにくい少女マンガも彼女に借りていたもののひとつだった。ということで、俺と彼女はいつだって一緒だった。一緒にいるのが楽だったし、お互いの気持ちも通じ合っているし。しかし、恋愛の「好き」というかんじではなかった。かといって、友人ってかんじではない。うーん、どちらかというと兄弟ってかんじだろうか。

しかし、こんな安定した俺たちの関係を周囲は黙って見ているわけじゃなかった。いつしか俺と彼女が「付き合っている」という噂が流れるようになったのだった。噂だけではない。直接、男友達にも言われた。「おまえら付き合ってるんだろう?」そういうとき、返事に困った。「いや、そうじゃないんだけど」「なんだ、ヤるだけの関係か?」そう言って下品に笑う男友達。そばに彼女がいたから気まずかった。俺は彼女に謝った。

「ごめんな。変な噂が流れるし。俺と一緒にいにくいだろ?」彼女は言った。「ううん。そんなことないよ。それにさ」彼女は黙る。「うん?」「それにさ、もう付き合っちゃったほうがいいんじゃない?」「え」そうして俺たちは付き合うようになったのだった。そう、告白もなしに。

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kao